3月3日は桃の節句。日本では雛人形を飾って、女の子の健やかな成長と幸せを願う日として親しまれている。残念ながら中国では桃の節句を祝う風習はなくなってしまったものの、今でも桃の花を観賞する習慣は残っている。戸外に出て、暖かな春の訪れを感じてみてはどうだろう。
桃の節句は、正式には「上巳(じょうし)の節句」といわれ、もともとは中国発祥の行事である。「上巳」とは、旧暦3月の上旬の「巳(み)の日」のことで、古来中国では「忌み日」とされていた。このため、当時の人々はこの日、水辺で身を清め、厄災を払う風習があったという。
これが日本に伝わったのが平安時代。当時は、中国と同じような形式をとっていたが、次第に貴族子女の間で流行していた人形遊びである「ひいな遊び」と融合し、自身の災厄を人形に引き受けさせ、川に流す「流し雛」へと形を変えた。この人形をやがて工芸品として発展したのが雛人形。江戸時代以降は、現代のような人形を飾る形式になり、庶民の間にも浸透していく。
「上巳の節句」が行われる時期、身を清める傍らで美しく咲きほこっていたのが桃の花。そのため、中国ではこの花に不思議な魅力を感じ、邪気を払う神秘的なものとして扱うようになったといわれる。
毎年春先になると、桂林、成都など全国各地で、桃の花祭りが開かれている。上海近郊では、南匯や無錫などへ、日本の花見の様に日帰りツアーが組まれるなど、各地から多くの人が観賞に訪れている。
~上海ジャピオン2006年3月3日発行号より