異国でのお掃除事情
湿気が多く、ホコリもたまりやすい上海。毎日のお掃除に頭を悩ませている太太さんも多いのでは? 「風呂場や洗面所にすぐカビが生える」、「掃除用具を買ってみたけど、上手く使えない」…などなど、日本と異なる環境の中で、戸惑うことも度々あるだろう。
そこで今回は、お悩みを解決すべく、その道のプロ・アイさん(家政婦さん)に上海流お掃除テクを教えてもらうことに。とその前に、中国におけるアイさんについての理解を深めるため、上海市の大手家政婦派遣会社「愛君家政」の代表・夏君さんにお話を伺った。
上海の家政婦業界について、熱く語る
全国展開の家政婦会社
2000年に創立した「愛君家政」。代表の夏さんは、国内における家政婦派遣サービス事業にイチ早く管理制度を導入、会員制度を設けた。これが各種メディアに取り上げられると、瞬く間に市民の注目を集め、現在では上海市内に約40の直営店、全国には約300の加盟店を持つまでに成長。
同社では、徹底した管理体制に加え、店舗の内装やスタッフの賃金、さらには各種トラブルへの対策を細かく設定。また、より高水準の家政サービスを提供するため、VIP会員宅へ派遣されるスタッフには7日間の強化技能訓練をみっちり行い、試験に合格した者だけが現場に出られる。
「介護事業にも力を入れていきたい」と話す
年々需要が高まる家政婦
今現在、上海市のアイさん人口は約20万人と言われている。夏さん曰く、家政婦を利用する家庭は年々増加、中でも〝70後〟の占める割合が最も高いという。この世代は幼い頃から家事を手伝っていたが、大人になってから自分でやらなくなったという。その背景には、彼らが社会に出る頃家政婦制度がスタート、若い彼らが利用し始めたことが挙げられる。さらに、1978年に1人っ子政策が導入され、子どもが家事を手伝わず、家政婦に依頼するケースが増えてきた。このような子どもの家事離れは、上海など都市部に限定したものではなく、農村部においても同じなのだとか。こうした状況を受け、中国における家政婦派遣事業が拡大していったと考えられる。
なお近年、家政婦業のサービス内容は、掃除や炊事のほか、ベビーシッター、老人介護と細分化され、専門性も高まっている。また各々の研修制度も充実、中国における家政業界全体のサービスの質の向上が期待される。今回は「愛君家政」と提携しており、日本企業が出資する「家利来家政」から、アイさん歴18年、出産ヘルパー、調理師、マッサージ師など、多数の資格を持つスーパーアイさん・趙さんを紹介してもらった。それでは次ページから実践編へ!
オールド上海の風情を楽しめる老房子。年代物の木製家具に、本物の木を使ったフローリング、掃除はどうしたらいいの?
木は乾拭きが鉄則
ここでのポイントは乾拭き。老房子では、ワックスでコーティングされていない実木の床が多く、水分を含むと形が変形したり、腐食したりしてしまう。
床を掃除する際は、ホウキや掃除機でホコリやチリを払った後、乾いたぞうきんで拭こう。この時、必ず一方向に向かって拭いていくこと。こうすることで、溝に溜まった汚れもしっかり取り除くことができる。
また木製家具は、家具と同じ色味のふきんorぞうきんで乾拭きすることが重要だ。もしも赤茶色の家具を緑のぞうきんで拭くと、木に色が移ったり、黒ずんだりすることがあるんだとか。同系色の布で繰り返し磨けば、光沢も出てくるそうだ。
水を使ったり、窓拭きワイパーを使ったりと面倒な作業が多く、つい後回しにしがちな窓の掃除。簡単な方法はない?
ジャピオンを使え
道具を必要とせず、かつスピーディーに行える窓掃除のテクは、ガラス面をできるだけ濡らさないこと。室内に面した側を拭くには、まず半分だけ濡らしたぞうきんを用意。初めに濡れた方で外枠を、次に乾いた方で外枠↑ガラス部分の順で拭いていく。ガラス部分を湿ったふきんで拭いてしまうと、水垢が残りやすいだけでなく、拭き取りにも時間がかかり、面倒なことに…。
また、屋外に面したガラスを掃除する際は、ジャピオンなど新聞紙を使うのがベター。新聞紙のインクの成分が油を分解し、ツヤを出してくれる。最初にガラス↑窓枠の順で水拭き、仕上げによく揉み込んだ新聞紙で、ガラス部分を磨き上げよう。
湿度が高く、また木造であるためか、部屋全体がジメジメし、さらにはカビが至る所に発生。このしつこいカビ、どうにかならない?
身近なアイテムを活用
まずお風呂場や浴室の黒ずみ・カビ落としには、市販の「歯磨き粉」を使用。少量を少し濡らしたぞうきんに取り、カビや黒ずみが気になるところをゴシゴシと磨いていく。洗面台はもちろん、蛇口や鏡もこの方法でピカピカに! 仕上げには、乾いたぞうきんで歯磨き粉が残らないよう、しっかり拭き取ろう。
なお同じカビはカビでも、冷蔵庫のパッキン部にできたカビには、酢を水で希釈したものを使おう。口にするものを保存する場所なので、食用にしても問題のないものを使うのがポイント。おまけに、お酢には除菌・消臭効果もあると言われるので、いいこと尽くめだ!
中国の下水管は細く、また配管の問題で、詰まりや水漏れなどの水回りトラブルが多い。夏場は特に臭いが気になるんだけど、解決策はない?
84で根こそぎ消毒
そこで秘密兵器、「84消毒液」の出番。次亜塩素酸ナトリウムを主成分とした消毒液で、酸化、漂白、殺菌作用がある。これを浴室、キッチンの排水管に少量流し、濡らしたキッチンペーパーで蓋をすれば、消毒&消臭のW効果! キッチンペーパーが、浮き上がってくる汚れや臭いを抑えてくれる。半日放置し、水で流せば完了。なお、有毒ガスが発生するので酸性のモノと同時に使用しないように。
もう1つの臭い対策としては、米酢を入れた容器を、浴室やトイレの四隅に置くという方法。特に下水管が通っているところの周辺は臭いが発生しやすいので、ピンポイントで置こう。
備え付けの冷蔵庫が、霜取り機能のない、少し古めの型のタイプ。特に梅雨期や夏場は、霜が付きやすくて…何か対策はない?
月1の手入れが肝心
対策としては、月1回ペースで、清潔なふきんで乾拭きを行うのがベター。この時、中に入っている食材や瓶なども、一つひとつ丁寧に拭いていくこと。さらに水気を残さないように、仕上げはキッチンペーパーを使うと良い。なお仕切り部分は、希釈酢で湿らせたタオルで拭くと、除菌・消臭に役立つとか。酢水は水500㍉に対し、ペットボトルのキャップ1杯分が目安。
なお、すでに数カ月放置して、ガンコな霜ができてしまった…という人は、食品を取り出し、電源を切って数時間放置した後、清潔な布巾で拭きとろう。同じく仕上げは酢水を使って拭くと消臭・除菌ができる。
梅雨期に、大切な洋服にカビが生えるという珍事件に遭遇。衣類の良い管理方法は?
空気の通り道を確保
オンシーズンで、よく腕を通す衣類は、クローゼットのドアの開閉率が高く、問題はないが、オフシーズンの衣類は要注意。クローゼット内では、服と服の間隔を広めに開けて、ハンガーに掛けるように。また長期不在時は、新聞紙を扉に挟むなどして、虫が通らない程度の空気の道を作っておくのがオススメ。
コートやスーツなど、洗濯機にかけられない洋服を簡単にキレイにする裏ワザ。まず、ビニルテープなどを汚れが気になる箇所に貼る。これを剥がすと、表面の埃や皮脂汚れも一緒に取れるという仕組み。ただし、浸みこんだ汗までは落とせないので、気になる場合は消臭スプレーをするか、安心できるクリーニング屋へ持って行こう!
~上海ジャピオン2014年7月25日号