南京出身の書家。1980年、文学雑誌『朔方』の編集者となり、中国作家協会にも加入した。代表作には『霊と肉』や『緑化樹』など
老師のオススメ!
この本は、中国の10年の動乱と、それが過ぎ去った後もその影響に悩まされる男の物語よ。著者・張賢亮は、混沌とした社会を経験し、迫害、逃亡、そして飢餓など、筆舌に尽くしがたい人生を歩んできたの。
今作では、その実体験に基づいた当時の社会や人々の様子がリアルに描写されているから、その時、中国で何が起きていたのかを知るのに役立つわ。またこれと合わせて、「愛と性」や「魂と肉体」といった、扱いが難しい分野にも踏み込んでいるのよね。
愛や人生に対する著者の真摯な思いが伝わって来る作品ね。
あらすじ
章永璘は、20世紀後期の時代の荒波に呑まれた犠牲者の1人。若い頃を、逃れられない飢餓と苦しみの中で過ごしました。
39歳の時、2度の離婚遍歴を持つ女性・黄香久と出会い、運命を感じます。2人は愛し合い結婚するのですが、青年期の悪夢のような経験が章永璘に与えた影響は少なくありませんでした。結婚して最初の夜、章永璘は妻の前で我を失い、自信を喪失。そして、様々な感情が渦巻く自身の心と向き合い、1人の男としての自信を取り戻します。しかし、そんな彼を待ち受けていたのは…。
多くの障害が立ち塞がる時代にありながら、人間の愛のあり方、生き様を一途に求めた一作です。
~上海ジャピオン2015’年3月20日号