最初は初級編。これらを食べられなければ、中国に馴染んだとは言えない!? におい・外見ともにひとクセあるが、ポピュラーな3品を紹介。
①腐乳
豆腐に麹をまぶし、発酵させた腐乳。大豆を原料とした発酵食品なので、日本人にとってそれほどハードルの高いものではないだろう。
瓶入りで売られていることが多く、プレーン味の「原味(白)」、紅麹を使った「紅」、唐辛子の効いた「辣」の3種がある。匂いはキツイが、後味は濃厚なチーズのようで、酒によく合う。なお、沖縄の「豆腐よう」はこれをもとに作られたと言われ、味わいが似ている。
②臭豆腐
〝臭い〟と冠するだけあって、強烈な刺激臭を発する。日本人でも「くさや」など、匂いの強いものを好む人に人気の食材で、曰く「臭い=うまい、ビールが進む」なのだそうだ。
中国では極めてポピュラーな屋台料理の1つである。路上で油を使って揚げるので、匂いは風に乗ってどこまでも漂う。初めて中華圏を訪れ、これが最初の洗礼となる日本人も多いのでは?
③鶏手/鶏爪
日本の場合、ニワトリを食すのは「手羽先」までだが、中国では足の先から頭のてっぺん(トサカ)まで食べる。
大地を駆け回るニワトリの足。よく洗って泥を落とし、甘辛く煮詰めて供されることが多い。こちらも屋台料理の定番メニューで、まず爪の部分をかじってペッと吐き出し、それから骨までしゃぶるのが一般的な食べ方だとか。コラーゲンが豊富と言われ、女性のおやつに好んで食べられる。
続いて中級編。チャレンジ精神旺盛な人なら、まだまだこのくらい大したことない、というレベルだろう。しかし小学生時代、どれもペットとして可愛がっていたことがあるという某編集部員には、抵抗感が半端なかったようだ。
①牛蛙(ウシガエル)
緑褐色の丸々と太ったボディを持つウシガエル。フランスでは、エスカルゴ(カタツムリ)と並んで常食とされる。味はあっさりとして臭みがなく、タンパク質が豊富で成長も速いため、日本でもかつては食用として重宝された。
主な調理法は、ぶつ切りにして、ジャガイモやネギなどの野菜と一緒に炒める、鍋に入れるなど。食感は特にアンコウなど、プリッとした白身魚によく似ており、ヤミツキになる人がいるのも頷ける。なお、大型のスーパーや市場では、生きた状態で売られている。
②鴨頭(アヒルの頭)
アヒルの頭は、醤油ベースのタレで煮込むか、パリパリに揚げる。嘴から後頭部までをタテに割った状態で出され、丸ごと食べられるが、舌はコリコリと歯応えがよく、脳ミソは少量だが白子のような舌触り。嘴部分も食べられるが、鶏の軟骨を苦手と感じる人には向かない。
③螺螄(タニシ)
「田んぼのサザエ」とも称されるタニシ。淡水に生息し、寄生虫がつくことが多いため、十分に加熱しなければならない。
食べ方は簡単、爪楊枝で貝の蓋部分を外した後、刺して身を引き抜くだけ。こちらも醤油ベースのタレで煮込み、ビールグラスを片手につまみたい。ただし、両手を使わなければならないので、食べにくいのが難点。
「好き嫌いせず何でも食べなさい」と言われて育った人は多いはず。それでも食の好みとは、生まれ育った環境などが影響し、異なってくるものだ。日本人の多くは「昆虫食なんて論外」と言うかもしれない。しかし! おぞましい、などと思うなかれ。早速、上級編スタート!
①竹虫(タケムシ)
中国の昆虫食の中で、最もメジャーと思われるのがこちら。3~4㌢ほどのガの幼虫で、竹の中に生息するため「タケムシ(バンブーワーム)」と呼ばれる。
今回取材班が訪れたのは、雲南料理店。たっぷりの油でカラッと揚げてあり、サクサクとスナック菓子感覚で食べられる。見た目もギザギザカットの冷凍フライドポテトのよう。ただし、後味が少々粉っぽく、妙な甘みを呈するので、好みは分かれるかもしれない。ジャピオン広州支部の編集部員はこれの入ったオムレツを食したところ、もっと甘味が強かったそうだ。
②木頭虫(ウィチェッティ・グラブ)
大きなイモムシ。正式名称を「ウィチェッティ・グラブ」と言い、これもガの幼虫である。体長約10㌢とその大きさに少々怯んでしまうが、そんな時は小さく切ってしまえばいい。エビの殻を食べているような味と食感。
③蝎子(サソリ)
これまでのイモムシとは違い、サソリは毒があるのでは…と、命の危機すら感じる。しかしサソリの毒は、加熱し、口から入れる分には問題ないそう。写真はキョクトウサソリという体長8㌢ほどの小さな品種。味は無味に近い。少し前までは、上海市郊外の水郷や公園の屋台でも、串に刺して売られていたものだが、最近はめったに見掛けなくなった。
~上海ジャピオン2019年6月14日発行号