老師のイントロ読書~『蛙』

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オススメポイント

同作品は、中国初のノーベル文学賞受賞作で、世界中からの注目を浴びている「1人っ子政策」を題材としています。農村に実在した、今でいう産科医・産婆「接生婆」の生涯を通し、彼女がその手で無数の〝生まれてはならない〟とされる命を弔った物語がリアルに描かれています。

一人っ子政策第一世代に生まれた子どもとして、同作品は非常に感慨深く心を揺り動かされました。同じ中国で暮らす日本人にも、中国の歴史や、独特の文化を理解してもらえたらと思います。また、普段あまり垣間見ることがない農村部の生活についても知ることができますよ。

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中国の農村の成育史を如実に表現

同書のタイトル『蛙』は、中国語の〝子ども〟を意味する「娃」と同じ発音です。〝接生婆〟である彼女の任務は、女性が2人目の子どもを産まないよう避妊、堕胎手術を行うこと。次第に罪悪感は深くなり、ある日池を通りかかった時に、無数の蛙…彼女の手によって奪われた無数の命が池の中から現れる幻覚に襲われ、そして彼女自身も不妊のまま生涯を終えることになります。
個人の中に生じる心の葛藤を、マジックリアリズムで巧みに表現しています。

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~上海ジャピオン2013年10月25日号

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