老師のオススメ!
この本は、著者・金宇澄が2012年に雑誌『収獲』で発表した長編小説よ。上海語で書かれた珍しい小説で、中国小説学会や中国図書評論学会から高い評価を受けているわ。
ヒーローや悪役がいるわけでもなく、劇的な展開があるわけでもなく、ごく普通の生活風景を描いているの。でもその素朴な日常がじんわりと心に浸み込むわ。
中国香港映画『グランド・マスター』などで知られる監督・王家衛がこの本の映画化を発表。上海語のまま読むのは難しいかもしれないけど、興味を持ってもらえるとうれしいわ。
あらすじ
物語は、とある上海人の中年男性・滬生は久しぶりに上海に戻ってきて、野菜市を訪れます。そこで旧知の陶陶に呼び止められ立ち話をすることに。話題は次第に若い頃の話に移っていくのでした。
1960~70年代中頃の困難な時代と、80年代以降メトロポリスとして目覚ましい発展を遂げる時代、人々はそれぞれどのように暮らしていたのでしょうか?
何気ない食料の買い出しや夕飯の準備といった普段の家事の様子などを描くことで、上海における人々の日常を色鮮やかに描きます。
上海という街を舞台に、2つの対照的な時代を並行して描いた地域小説です。
~上海ジャピオン2015’年3月27日号