水滸巡礼~108の足跡~徐寧(じょねい)

-468suiko-v1 -468suiko-v2

無敵の鈎鎌鎗
徐寧(じょねい)

ゆかりの地 浙江省嘉興市
あだ名 金鎗手
職業 騎兵軍将校
宿星 天佑星

もと東京開封府(河南省開封市)の槍術師範。「鈎鎌鎗(こうれんそう)」なる槍や弓の扱いに長けた。梁山泊の呉用らの計略に嵌り、入塞する。梁山泊の湯隆(とうりゅう)とは従兄弟同士。最期は秀州(現浙江省嘉興市)で、傷の療養中に死亡。

盗まれた家宝の行方
連環馬を破る鈎鎌鎗

徐寧は、かつて東京開封府(河南省開封市)の禁軍(近衛軍)に属していた軍人。身の丈が大きく、白く丸い顔に鬚をたくわえ、天子を守り、槍術に優れた騎兵隊「金鎗班」の槍術師範を務めていたことから、「金鎗手(きんそうしゅ)」と呼ばれた。

-468suiko-v3

嘉興市郊外の嘉善県の水郷・西塘。映画『ミッション:インポッシブル3』のロケ地として知られる

ある日、徐寧の屋敷に泥棒が入り、代々伝わる家宝の鎧が盗まれた。慌てた徐寧は、従兄弟の湯隆とともに犯人を追い、捕まえるも、鎧はすでに他の者の手に渡っていた。諦めきれないそれでも徐寧は鎧の行方を追ったが、途中に寄った酒屋で何者かに痺れ薬を盛られ、目を覚ますと梁山泊の中にいた。犯人は梁山泊の盗賊・時遷(じせん)。すべては徐寧を仲間に入れるための、彼らの計略だったのだ。

当時彼らは、梁山泊討伐軍のため組まれた呼延灼軍の馬数十頭を鎖で横一列に繋いで進撃する「連環馬(れんかんば)戦法」に苦戦しており、これを破るにはどうしても徐寧の鈎鎌鎗法が必要であった。最初は渋っていた徐寧であったが、宋江が鎧を返却し、家族と住むことを約束したため、入塞を承諾する。

そして徐寧は鈎鎌鎗部隊を編成し、呼延灼軍に挑む。押し寄せてくる連環馬は、伏兵の鈎鎌鎗に足を取られ次々と転倒、見事勝利を得た。その後は騎兵隊で活躍し、独自の隊を率い、戦功を立てていく。最期は方臘の戦いで首に矢を受け、この傷が悪化したことで落命した。

-468suiko-v4

南湖。杭州市の西湖などと並び〝江南三大名湖〟の1つに数えられる。南湖菱という植物が多く採れる場所としても有名

徐寧が倒れた地、浙江省嘉興市。同省の北東部に位置するこの地はちまき発祥の地であると同時に、新石器時代の文化の1つ馬家浜文化の発祥地でもあり、多数の遺跡が発見されている。最後まで己の槍を信じて戦った徐寧、死後も彼の槍は金色に輝いていたことだろう。

【アクセス】
上海南駅から嘉興駅まで、高速列車で約30分、2等席38元

-468suiko-v5

~上海ジャピオン2014年1月24日号

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP