食道をゆく 第33回 粽子

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ゾンズ
粽子
~湖南省岳陽市~

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 端午節だけに限らず、1年中味わえる

端午節に食べる理由とは?
民に慕われた男の最期

?? 来たる6月16日(水)は、旧暦5月5日にあたる端午節。
日本では新暦で祝われるのだが、日中ともに共通してこの日に食べられるのが、粽子(ちまき)だ。
日本には円錐形のものもあるが、中国では三角形のものが一般的で、
端午節に限らず、朝食にも手軽に食べられる。
そのルーツには、民に慕われた男の悲しい最期が関係していた。
 時は紀元前、楚の時代に遡る。
キーとなる人物は、楚国の政治家であり、春秋戦国時代を代表する詩人でもあった屈原(くつげん)。
当時、楚国は秦軍に侵略されようとしていた。

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屈子祠では、屈原が投身した汨羅江を望むことができる

 秦軍の策略を見抜いていた彼は、必死で王に進言するも受け入れられなかった。
そしてついに楚国が秦軍に攻め落とされると、絶望した彼は、
石を抱いて今の湖南省岳陽市を流れる汨羅江(べきらこう)で入水自殺してしまったのだ。
それが5月5日のことだった。
すると彼を慕っていた民衆は、彼を弔うため、また、魚が彼の亡骸や供え物を食べてしまわないようにと、
命日に竹筒に入れた米の飯を川に投げ入れた。
これがちまきの起源だとされる。
 その後、竹筒から竹の皮などで巻きイグサなどでしばった形状に変化し、
味も各地で改良され、全国へと広まっていったのだ。
代表的なのは、もち米と一緒に甘辛く味付けした豚肉やタケノコ・しいたけなどを入れた「肉粽」(中華ちまき)。
ほかに、小豆餡や棗・栗などを入れた甘いちまきもある。
値段はいずれも1個3・5~5元程度。
 今年の端午節には、岳陽市で汨羅江を眺めながら屈原に思いをはせつつ、本場のちまきを味わってみよう。

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【アクセス】
①上海浦東空港または虹橋空港から長沙黄花空港まで飛行機で約2時間。
列車に乗り換え、長沙駅から岳陽駅まで約1時間半、硬座24元~
②上海南駅から新幹線(動車組)に乗り、長沙駅まで約8時間、硬座274元~。
長沙駅から岳陽駅まで約1時間半、硬座24元~

~上海ジャピオン6月11日号より

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