隠れ家カフェ探訪

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野に咲く花のような珈琲店
自家焙煎のこだわりの豆
フランス租界を散策するのが好きな人なら、
一度は通ったことがあるはずの武康路。
その界隈に今年、
春の訪れとともに道の野草が花開くようにひっそりと開店したのが、
「ルマーズコーヒー」だ。
同店のオーナーである中山さんは、
35過ぎまでは会社員をしていたが、
焙煎士という仕事に出会い、
上海の人に本格的な自家焙煎のコーヒーの味を楽しんでもらうことを目標に、
軽井沢の師匠の元で2年程修行をしたとか。
わずか10席のこぢんまりとした店内だが、
コーヒー豆がズラリと並ぶカウンターの奥には、
4人座れる個室のようなスペースも。
居心地の良いソファーに座って窓の外を眺めていれば、
時間が経つのも忘れてしまいそうだ。
コーヒーは、全て自家焙煎。中山さん自ら、
ハンドドリップで丁寧に淹れてくれる。
今回頂いたのは「マンデリン」(45元、2杯目は30元)と、
生クリームがたっぷり乗った「アイスカフェオレ」(55元)。
そして、「コーヒー屋さんのアイスクリーム」(50元)だ。
3スクープ盛られたバニラアイスクリームの下には、
深煎りのコーヒーゼリーにコーヒー・リキュールを加えたものが隠れており、
コーヒー店ならではのこだわりが伺える。
同店オススメの「ケニア」(150元/200㌘)など、
コーヒー豆の販売も行っている。
コーヒー好きならカウンターに座り、
中山さんとコーヒー談義をしに訪れるのも良いかもしれない。

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弄堂の奥のそのまた奥
自分だけの〝巣〟に
〝巣〟という意味の店名にふさわしい、
まさに隠れ家のようなカフェ。
巨鹿路沿いにある上海の古い集合住宅「弄堂(ロンタン)」の奥へ奥へと進んでいくと、
ようやく店の門が姿を現す。
郵便受けに店名がさり気なく書いてあるのみで、
看板などはどこにも見当たらない。庭の小路を歩いていけば、
個人の邸宅を訪れているような錯覚を覚える。
実はこの店、上海っ子の間では知る人ぞ知る人気店で、
休日の午後はいつも満席。もともとは浦東にあったのだが、
1年ほど前に今の場所へと越してきた。
予約は受け付けていないので、
座れない時には周りの通りを散策するか、
庭先で客を出迎えてくれるウサギや小鳥と戯れながらのんびり待とう。
ここに来たら是非ともオーダーしたいのが、
「スペシャルホット/アイスチョコレート」(ミディアムホット36元、
アイス38元、ラージホット39元、アイス42元)。
アイスの方には、
グラスの淵までたっぷりとチョコレートソースが塗られている。
「ベイクドチーズケーキ」(35元)や「ティラミス」(38元)も見逃せない。
また、ランチとディナーには、サラダやパスタなどの食事も提供している。
店内も弄堂の家らしく、
暖炉や花柄の壁紙、蓄音機に黒電話と、
目に飽きない。テラス席に座れば、
庭の緑に小鳥のさえずりがBGMとなる。
もし許されるのであれば、自分の〝巣〟にして1日中のんびり過ごしたい――。
そんな風に思わせる1軒だ。

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散りばめられた骨董品
丁寧な接客に癒される
スペイン領事館があり、
多国籍レストランやスーパーなども多く並んで、
週末になると欧米人で賑わう安福路。
その賑わいを抜けて東へ向かうと、
道の突き当たり間近に、思わず見落としてしまいそうな、
でも見つけたら立ち止まらずにはいられない店がある。
それが「ラ・プティ・フルール」だ。
看板にはフランス語名しか書かれておらず、
店内に入ると橙色の壁と暗めの照明で、
天気の良い日にもホッと落ち着ける色合い。
店の奥にはアンティークなオルガンが置かれ、
フランス語で書かれた楽譜も添えられている。
そして運ばれてくるメニューも、
中央にバラの花がポンと描かれており、楽譜さながら。
中をめくると、タイプライターで打たれたような愛らしい料理名が並んでいる。
前菜、スープ、パスタにリゾットと、
フード類も充実しているが、やはり試したいのはコーヒーとケーキ。
ケーキは日替わりで、全て35元。
フォンダンショコラやチーズケーキ、ティラミスなどがあり、
今回は「ラテ」(35元)と「バナナチョコレートムース」をオーダー。
滑らかな舌触りのムースがバナナと混ざりあい、
思わず目を閉じてじっくり味わってしまう。
そして同店は、接客も◎ 物腰の柔らかな店員さんが微笑みをたたえながら、
お釣りを渡す時には両手を添え、
水も小まめに注いでくれる。空間、味、ホスピタリティと3拍子揃った店内で、
心ゆくまで癒されよう。

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石畳に緑色の元車庫
レトロ博物館カフェ
旧フランス租界の雰囲気はもちろん、
石畳の散歩道が歩いていて楽しい桃江路。
そのちょうど中央に位置する「老麦??館」は、
道沿いの木々に同化してしまいそうな緑色の外観が印象的だ。
もともとは車庫だったという1戸建ての店内は、
地下1階、1階、2階に分かれている。
しかし面積はさほど広くないので、満席になっていることも多い。
入口すぐ右の狭い階段を降りていくと、
そこには6人がけのテーブルが1つ置いてあるのみ。
5~6人で座れば、地下スペースは貸切状態になる。
そして壁際には陳列棚が置かれ、時計や木箱など、
購入も可能なレトロ雑貨が所狭しと並べられており、
ちょっとした博物館のようだ。
そしてギシギシときしむ階段を上っていけば、
2階の窓際にはパソコンが2台セッティングされている席があり
、無料でネットし放題。窓からは、
民家の庭も覗き見ることができる。
カフェメニューは、
ウォッカを少し垂らした「老麦コーヒー」(ホット35元、アイス38元)や
「ホームメイドクッキー」(20元)など。
そして真偽は定かではないが、
〝上海では本店のみ〟と謳うドリンク「ブルーベリーラバー」(35元)は、
さっぱりとした味わいで、甘酸っぱい。
惜しむらくは、
通路が狭いのとカメラ女子が店内を行き来するため、
少々せわしない空気は否めないこと。
隅の方の静かな席を確保して自分の世界に入り込むか、
カメラ女子に混じって店内を徘徊して過ごすのが◎だ。

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ビルに潜む憩いの場
時間割引サービスも豊富
1986年に竣工されたオフィスビル・瑞金大厦。
中には日系企業も多いが、ビジネスマンでなければ、
なかなか立ち寄ることはないだろう。
そんなビルの1階に今年8月、
本格的なコーヒーを提供するカフェが登場した。
ビルの外には看板が出ていないが、奥に進むと、
オレンジ色の明かりがぽわんと灯っているのが見えてくる。
同店を開いたオーナーの蔡中順さんは自他ともに認めるコーヒー通で、
理想の豆を求めてアフリカまで赴き、
現在は雲南省で自身のコーヒー園も経営する。
そんなこだわりを持つだけあって、
ジャコウネコの排泄物から採られた未消化のコーヒー豆「コピ・ルアク」(168元)など、
稀少なコーヒーも用意。一方、
メニューには濃さも表示されているので、
コーヒーにあまり詳しくない人でも選びやすい。
また場所柄、時間帯による割引サービスも充実。
朝9時半~11時半は「アメリカン」(通常ホット22元、アイス25元)が10元、
「カプチーノ」(通常ホット25元、アイス29元)が12元、
「カフェラテ」(通常ホット28元、アイス32元)が15元となり、
14時~16時にはテイクアウトのみ、全てのコーヒーが10元引きとなる。
コーヒー通もそうでない人も、
オフィスビルに潜む憩いの場に、一度足を踏み入れてみよう。

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~上海ジャピオン10月21日号

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