古北地区から30分で行ける水郷。それが、上海人には食の街としても知られる七宝(チーパオ)だ。最近は新しい飲食店が次々オープンしており、日本からの観光ツアーに組み込まれることも増えている。少し遠出がしたい春の休日、気軽に訪れてみてはどうだろう。
市中心部から西南へ15㌔にある七宝は、メイン通りを歩くだけなら数分で足りる小さな街だ。ただ、ぎっしり並ぶ店や小さな博物館・記念館を見てまわれば、3、4時間はすぐ過ぎてしまう。
街並みは明~清代を再現したもので、多様なおみやげや小吃が売られている。茶館では伝統芸能「評弾」が演じられ、広場ではなぜかマジックショーが開かれる。面白いものを、時と場所にこだわらずに集めたような空間だ。
そんなおもちゃ箱じみた雰囲気に通じる伝説がある。七宝には、空飛ぶ仏像、川から浮かぶ鐘など、7つの不思議な宝物があり、それが地名の由来だと言うのだ。
上海七宝古鎮実業発展有限公司の文化管理長・馮紀康さんは、「七宝は約千年の歴史を持ちますが、外から文化や人を受け入れて発展しました。仏教、キリスト教、イスラム教などの多くの宗教建築が築かれた事もそれを示しています」と説明する。
例えば、七宝の特産である焼酎造りの技法は、南宋時代に北方から移住した人々が伝えたものだ。
「焼酎のつまみとして今もよく食べられる羊肉も、北部から運ばれて来るのです。この、外から食文化を受け入れる傾向は、今も続いています。2000年、街が修復・整備されて以降、雲南省や四川省など、他地域の食べ物がどんどん集まっているのです。日本からは豚骨ラーメンが来ましたよ!これこそ、朱家角などの他の水郷にはない、七宝の特徴ですね」七宝で生まれ育ったという馮さんは、楽しそうに話した。
七宝では、観光用地の拡張工事が予定されている。食文化の点からも、ますます見逃せない場所になりそうだ。
~上海ジャピオン2006年4月14日発行号より