地元の人に聞く ココが私のふるさとの味

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大皿料理がたくさん

紅松路にある小さなローカル店。外観に目立った特徴はなく、一見普通の中華料理店に見えるけど…?「家から近いし、よく来ているの。ハルビン地方の料理が安い値段でお腹いっぱい食べられるからオススメよ」と梅花さんからの情報を信じ、いざ入店。すると、昼過ぎという時間帯にも関わらず店内はほぼ満席、かなりの盛況ぶりだ。

すべて写真付きなのがうれしいメニューは、ざっと数えて70~80種類。5~6回通っただけではすべて網羅することは難しそう。オススメに書かれている羊肉のスペアリブ「手抓羊排」(68元)やアツアツのサツマイモに溶かした飴をかけた〝ホクホクの大学イモ〟、「抜絲地瓜」(28元)に豪快にかぶりつきたいところだが、生憎今回は少人数で来てしまったため、とりあえず店名にもなっている「水餃子」(18~20元/18個)をオーダーしてみよう。

小さいながら活気あり

しばらくして運ばれてきた水餃子、ポイッと口に運べば、瑞々しくプリッとした皮と、餡に入ったシャキシャキセロリの歯ざわりよく、何個でも口に運んでしまう。夢中で平らげている間に、3皿4皿と、餃子の注文が飛ぶように入る。北方の料理店には愛想よく、テキパキ働く人が多いと聞くが、この店も多聞に漏れず、ガタイのいいおじさんやお兄さんたちがちゃきちゃき働いている。「餃子上がったよ!」と張りのある声が厨房に響き渡り活気ある雰囲気だ。昼に来店すると1人20~30元、夜なら約80元で腹いっぱい食べられるというコスパのよさも魅力。何度でも通いたくなる。

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女子ウケしそうな店内

YOYOさんのオススメで向かった店は、1・10・12号線「陝西南路」駅から徒歩5分、外国料理や創作料理のレストランが集まる進賢路と陝西南路の交差点にある。赤いレンガに金色の看板、天井からぶら下がる間接照明は、まるでオシャレなカフェのよう。

実を言うと、四川に行った際、どの料理もとても辛く、食べられるものがあまりなかったという苦い経験を持つ取材班。でも、こんなキュートな店内なら、辛くない創作料理もあるはず?と淡い期待に胸を躍らせつつ、メニューに目を落とす。しかし、そこに並ぶはかなり本格的な四川料理…ええい、ままよ!と、YOYOさんイチオシのウサギ肉料理「自貢鮮鍋兎」(98元)と牛ホルモンの炒めもの「火爆肥腸」(69元)をオーダー。同店は辛さの要望を聞いてくれるので、ホルモン炒めは怖い物見たさで〝辛さMAX〟と頼んでみた。

 痺れる激辛料理の誘惑

まず運ばれて来たのはホルモン炒め。こんもり盛られた赤トウガラシと青トウガラシの中からホルモンを探し出し、口に運ぶ。想像していたより油控えめで、プリッとした歯応えが絶妙。のどを通った後から、ジワジワと辛さが沸き立つ。そして「自貢鮮鍋兎」は、米粉の麺などと一緒に煮込まれたウサギの肉が柔らかく、香りもよくておいしい。よし、ではもう一口…いこうとしたところに、一拍遅れてビリビリッとした辛さが。う~ん、激カラ!

辛いけど、もっと食べたい、でも辛い…を繰り返し、気付けば身体がポカポカに。このやみつきになる、痺れる辛さをぜひ体験して。

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ホッとする点心

観光地「豫園中心広場」のド真ん中に位置する点心店「寧波湯圓」。寧波市出身の人だけでなく、上海人も「湯圓(タンユエン)と言えばここ」と口を揃えて話すほどに名店中の名店だ。

餡入りの白玉団子である「湯圓」は、今から約700年前の宋の時代に、現在の寧波市辺りで作られたのが始まりとされている。餅皮に黒ゴマなどの餡を詰め一口サイズ大に丸めて茹でたもので、噛んだ瞬間に餡が口の中にトロリと溶け出し、芳ばしいゴマの香りが鼻孔にフワッと広がる。おやつにピッタリの、素朴な甘さにホッとする点心だ。

 おばあちゃんの味

「昔は祖母がよく臼でモチ米を引いて、湯圓を作ってくれたもんだ。今でもあの味が忘れられなくて、よくここに来るよ」と目を細める徐さん。ここ「寧波湯圓」の湯圓もすべて手作りで、店の入口付近では、職人であるおばさんたちが熟練の手つきで団子を丸めている。早速オーダーしてみよう。店の奥にあるカウンターで注文、レシートを店員に渡し、待つこと5分…シンプルな白い器に盛られた「寧波湯圓」(16元/8個)が運ばれてきた。餅がしっかりと厚く、不揃いな形に手作りならではの温かさを感じる。ピンポン玉ぐらいの大きさなので、8つ食べれば満腹。

ちょうど来週2月11日(土)は「元宵節」。中国では旧暦1月15日に当たるこの日に、湯圓を食べて家族円満を願う習慣があり、同店では毎年この時期に1日2~5万個の湯圓を売り上げると言う。多くの上海人にとっても、同店の湯圓は故郷や家族を思い出す味として親しまれている。

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台湾人がこよなく愛する

中国台湾出身の人から根強い支持を受ける同店。プラタナス並木が美しい宝慶路にあった店は閉店してしまったが、今も大型ショッピングモールを中心に店舗数拡大を続けており、古北の万科広場1階にある本店を始め、金虹橋広場や日月光広場など、日本人にとっても身近な場所にあるのがうれしい。開店から17年、現在は市内に12店舗を構え、その人気は衰えることを知らない。

今回推薦してもらったYUKIさんのオススメは、店名を冠した「千秋蛋餅巻」(22元)。クレープ地でネギや玉子を巻いたもので、ほんのり甘く、朝ごはんにもピッタリだ。因みに一緒に来ていた上海人の友人は「甜辣醤(甘辛いソース)をかければもっとおいしくなると思う」とコメント。上海人にとってはやや薄味に感じるのかも?また〝もっとボリュームがほしい!〟という人には、これにブタ肉を追加した「大餅猪肉」(28元)をオススメしたい。

小吃を思う存分どうぞ

ほかにも、台湾夜市でお馴染みの玉子焼き「蚵仔煎」(38元)や大きなチキンカツ「香酥鶏排」(20元)、柔らかい牛肉が乗った「蕃茄紅焼牛肉麺」(34元)など、小吃好きには堪らない料理がいっぱい。これに黒くて甘い仙草ゼリーがたっぷり入った「仙草蜜」や炭酸飲料「黒松沙士」(各12元)など中国台湾から仕入れたドリンクをオーダーすれば、気分はもう台湾夜市に繰り出したかのよう。大きなテーブルにたくさんの料理を広げ、友人とワイワイ食べよう。

 

~上海ジャピオン2017年2月3日発行号

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