ワザあり! 精進料理

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〝もどき料理〟を楽しもう

精進料理は元々、仏道修行に励むための料理。殺生を禁じる仏教の教えが基になっているため、大原則として、あらゆる肉類、魚貝類、卵の使用を禁止している。加えてアルコール類をはじめ、ニラ、ネギ、ニンニクなど臭いが強く精が付く食材も、修行に差し障りがあるため使用しない。

こう書くと、精進料理は質素で淡白な印象があるが、中国の精進料理に限って言えば、実はそうでもない。その秘密は、野菜や雑穀で肉や魚の味、食感を再現する〝もどき料理〟の存在があるからだ。思わず「これ本物の肉じゃないの?」と目と舌を疑うほど、技アリの出来具合。健康のためはもちろん、こうした〝もどき料理〟を楽しみに、精進料理レストランに足を運んでみるのもいいだろう。

木と古書に囲まれて

「吉祥草」は木造の机や古書に囲まれた、独特の雰囲気がある精進料理店。「仏陀が菩提樹の下で悟りを開いた時、その足元には吉祥草を敷いていたと言われています。それ以来、仏道に励む人にとって、吉祥草は悪いものを遠ざけるお守りなんですよ」と、店員が店名の由来を話してくれた。

宮廷料理をモチーフにしたものが多く、味付けも全体的にあっさりしている同店の精進料理。食材も肉類、卵の使用は一切なし。山芋を梅の汁に漬け込んだ「話梅山葯」(16元)やナズナと干し豆腐を湯葉で巻いた「菩提香袋」(28元)、豆腐にチンゲンサイから採ったソースをかける「碧玉妝成」(36元)などは、見た目にも華やかだ。ヤマイモとナツメのミックスジュース「山薬紅棗汁」(18元)をはじめとするフレッシュジュースは、砂糖ありorなしから選べるが、ここはヘルシーにノンシュガーでオーダーしよう。

info 

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住所  馬当路428号

TEL  6373-0288

営業時間  11時~21時

席数  約100席

予算  約70~90元

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正統派だけどカジュアル

市内に5店舗を構え、カジュアルに利用できる精進料理店。同店のテーマである「無煙、無酒、無蛋、無肉」の通り、アルコール類、卵、肉を使用した料理は扱わない。また水は浄水し、油は植物油だけを使う。

2001年に開店以来、16年の歴史を誇る同店は、上海に置けるベジタリアンレストランの草分け的存在。日本のテレビ局やイギリスのBBCテレビ、韓国テレビなど、世界各国のメディアで取り上げられている。店名の「棗子」はナツメを指し、ナツメの樹のように土地や場所を選ばず繁栄するという願いが込められているそうだ。古北エリアの黄金城道や南京西路にも店を構え、丸テーブルの雰囲気ある店内は、アテンドにもピッタリ。

 一途に健康志向の店

メニューは約150種類と、精進料理店とは思えない豊富さだ。オススメは、見た目と食感がソーセージそのものの「常長想思」(30元)、魚の照り焼きもどき「本浦新燻」(38元)蟹ミソもどきのチャーハン「六合宝黄」(48元)などで、ぜひ本物そっくりの見た目と味に驚いてほしい。またギョーザの皮にホウレンソウを練りこんだ、グリーンが目にも鮮やかな「手工餃子」(48元/12個)、揚げ具合と塩コショウ加減が絶妙な「椒塩藕挟」(42元)など野菜本来の味を生かした料理もたまらない。

フードメニューはすべて写真付きなので、中国語ができない人でも安心だ。ドリンクは、中国茶と生絞りジュースを用意する。まだ中国で精進料理を食べたことがないという人は、まずここで色々な味にチャレンジしてみよう。

info

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住所  嵩山路77号上海皇宮内

TEL  6384-8000

営業時間  11時~翌2時

席数  約150席

予算  約60~80元

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硬派な精進料理店

新華路にある「五観堂」は、上海きっての硬派な精進料理店。〝もどき料理〟を作らず、純粋に野菜や穀物の味を追求した精進料理を提供し、食材も専門業者が届けるものだけを使用する。このこだわりの根底には、経営者の「より健康的な料理を」という考えがある。「飽食の現代で、肥満の人も増えているからこそ、定期的にこうしたヘルシーな食事を心掛けてほしい」と語る。

2003年に上海に本店をオープン、蘇州市の西園寺内にも店を構えるほか、何とイギリスにも「WGTベジタリアンレストラン」として出店を果たしている。

 温もりあるメニュー

紐で綴じられたノートに、手書きのメニューが何とも言えない味があっていい。オススメメニューの解説には、熱のこもった長文がしたためられている。ピリッと辛い炊き込みご飯「観音飯」(28元)に至っては、10行にも渡り、この料理が生まれた背景が綴られているので驚きだ。ほか、春先から夏に向けてのイチオシは、9種類の冷菜を盛り合わせた「九珍盒」(108元/2~4人前)。また粥や麺類、鍋、日替わりスープ、デザートも用意されており、予算は1人70元前後とリーズナブル。

中国の香がほのかに香る店内で、店員が丁寧に接客。メニューが手書きのうえ、写真が付いていないのでどんな料理か想像しづらいかもしれないが、店員に聞けば親切に教えてくれる。たまにはこういう店でゆっくりと、胃にやさしい料理をいただきながら、身体を休める時間を取りたいものだ。

 info

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住所  新華路349号

TEL  6281-3695

営業時間  11時半~14時、17時半~21時半

席数  約60席

予算  約60~80元

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~上海ジャピオン2017年4月14日発行号

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