上海で はじめようボランティア

工夫や手作り感満点

上海市でも徐々に広がりつつある、障がい者の就労支援を行う飲食店。カフェ「LiLi Time」もその一つで、店員の7割が聴覚障害を持つ、ろう者だ。

店内は緑溢れる落ち着いた雰囲気。入店するとすぐ店員が駆け寄り、にこやかに案内してくれた。冊子になっているメニューは指差しでもオーダーしやすいよう工夫されていて、「ライチソーダコーヒー」(48元)などユニークなドリンクが並ぶ。今回オーダーした「コーヒ&ケーキセット」(58元)の「アーモンドアップルケーキ」は、同店最年長のろう者がその場で焼き上げる、素朴でやさしい味わいの一品だ。

様々な支援グッズを販売

また同店では購入すると、市内の清掃員などにコーヒーの差し入れができるボランティアメニュー「LT祝福珈琲」(25元/杯)も販売中。ほか店内には、ろう者が描いた絵画や、手作りハンドソープを設置。海外で人身売買被害に遭った女性の保護と自立支援を行う団体「eden」のハンドメイドアクセサリーやキャンドルも取り扱う。商品を眺めていると、なんと日本語がペラペラのスタッフと遭遇。彼に話を聞くと、ここで働く店員も、ハンドメイド作家も、とても能力が高いのに、ろう者というだけで活躍の機会がないこと。この店はそんな人たちを受け入れ、熱心に教育・支援していると語ってくれた。

イベントや手話講座も開かれ、店員と客は垣根なく、温かな交流を楽しんでいる様子。よそのカフェにはない、上質な時間が流れている。

 

外国人からも献血募集

日本だと、献血に行ったことがあるという人が多いのではないだろうか? 上海市でもパスポート原本を持参すれば、外国人でも献血に参加できる。

まずは微信公式アカウント「上海市血液中心」から、市内各地にある献血ルーム・献血バスを検索。外国人は事前予約システムを使えないので、営業時間内に直接献血ルームに向かえばOK。ルーム内では登録票に情報を記入のうえ、簡単な健康診断と、血液チェックを実施。問題なければ献血に進む。内容は全血採血200㍉と400㍉、成分採血の3種類だ。

試しに「馬当路」駅近くの献血ルーム「愛心献血屋」に足を運ぶと、女性スタッフが親切に受付してくれた。この日、取材班は残念ながら条件が合わず献血には至らなかったが、中を見学させてもらうと、ちょっと古いながらも、清潔感のある施設。日本のように、ジュースや菓子などのプレゼントはないようだ。

企業ぐるみの奨励活動

上海市では2020年度、約33万人が、のべ47万回献血を行ったという。日本・東京都の同時期献血回数は54万回。市では献血事業に力を入れており、各企業も社会貢献活動の一つとして献血を取り入れているところが多数。中には、社員が献血に行けば有給休暇が増えるなどの制度を取り入れている企業もあるという。

人民広場や外灘には出張献血バスも稼働。見掛けたら、気軽に参加してみては?

 

 

野良イヌ、ネコを保護

「上海領養日」は、有志で運営する野良イヌ・ネコの民間保護団体。運営5年目にして様々なブランドや商業施設、芸能人らとタイアップを果たし、イヌ・ネコの保護サポートや、里親探しに大きく貢献している。

野良イヌ、ネコの保護は時間もお金も掛かり、簡単にはいかないもの。同団体では捨てネコなどを見付けた時の保護手順を教えることから始まり、里親が見付かるまでの保護・サポート、情報発信、里親への引き渡しまでを担う。里親探しはオンラインでの告知のほか、不定期で里親会も開催。里親募集中の動物や、里親会イベント情報は同団体微信公式アカウントや、ミニブログ「微博」、親浪ブログなどで告知されるので、チェックしてみて。

新しい飼い主は、その人の家庭の状況や環境などの厳密な審査を経て決定される。動物たちがペットとして旅立っていったその後も、飼い主へ微信で定期報告を要求し、常に状況をチェックしているという。

グッズを買って応援しよう

この団体は捨てイヌ・ネコを一時保護してくれる人や、新しい飼い主を常に探しているが、長期滞在しない外国人は力になることが難しいかもしれない。そんな時は、同団体の「公式グッズ」(5元~)を買って、資金援助を行うのも◎。かわいいネコのイラストが描かれた「傘」(28元~)や「トートバッグ」(38元)を買って、運動を応援してみよう。

 

大手企業の社会貢献活動

毎年9月5日は「世界チャリティーデー」にして「中華慈善の日」。各企業ではこの日に合わせて、様々なチャリティー活動を行っている。

チャットアプリ「微信(We Chat)」を運営する「騰訊集団(テンセント)」は毎年9月9日をチャリティーデーに定め、各企業や慈善団体とタイアップし、オフラインイベントや募金活動を活発化。同アプリの募金は、「支付」メニュー内の「騰訊公益」で募集。貧困にあえぐ子どもたちへの教育支援から環境保護、災害復興活動支援まで、寄付を募集するプロジェクトはざっと見ただけでも100以上はありそうだ。また、特定の子どもや老人を継続的に支援する〝あしながおじさん〟のような寄付項目も用意する。

寄付は基本的に1元~可能で、1万歩以上歩いた日には、その歩数を使って寄付もOK。寄付すると貯まるポイントと交換できる、お花のピンバッジやトートバッグがかわいい。

歩数やポイントで寄付

一方、「騰訊集団」のライバル企業である「阿里巴巴集団(アリババ・グループ)」も近年、チャリティー事業に注力。同企業は今月、今後2025年までに1000億元を投じ、教育事業や環境保護、貧困地域の振興を支援することを発表した。

同企業運営のアプリ「支付宝(アリペイ)」でも様々なチャリティーチャンネルを設ける。その中の一つ「愛心捐贈」は、現金のほか、歩数やアリペイ内で貯まったポイントを使って寄付が可能。またニワトリを育てるゲームを通じて支援ができる「蚂蟻荘園」や植林を応援する「蚂蟻森林」など、気軽に参加できるチャンネルが勢揃いだ。

 

~上海ジャピオン2021年9月17日号

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