上海的温活

 

熱すぎないポカポカ温灸

ヨモギから精製するもぐさを使って身体のツボや経路を温め、身体の調子を整える灸。灸の本場・中国では、様々なタイプが販売されている。

 日本で灸と言えば、肌に直接乗せるか、台座をシールでくっ付けて火を付け、じわじわと熱くなってくるのをひたすら堪え、肌が真っ赤に…というイメージだ。一方の中国では、灸を肌に直接付けず、熱や香りで身体を癒す温灸が一般的。もぐさを紙で巻いた「艾条」が昔から使われているメジャーなもので、ペットボトルのキャップほどある太い灸に火を付けて身体を炙り、温めていく。上下前後に灸を動かすと広範囲を温められ、一本使い切らずとも、好きなタイミングで終了できるのが魅力的。

この「艾条」を短く輪切りにしたものが「艾柱」だ。こちらは、専用の小さな箱や「艾灸棒」という棒タイプの箱、身体にくっ付けるタイプの入れ物などに入れて使う。1つ当たりの燃焼時間は30分ほど。専用ケース入りなので、「艾条」に比べるとやさしい温度で、付属のベルトなどで固定すれば、作業しながらでも温灸ができる。ポカポカと温まるのが何とも心地よく、編集班は温活以外にも、腹の調子が悪い時や肩凝り・腰痛時にとても重宝している。

 

煙が出ない、エコタイプも

火を使わないタイプの温灸は、シップ型の「艾灸貼」が有名。腰痛や肩凝りに特化した成分が入っており、ホッカイロより温度低め、ぬる~い感じで患部をじんわり温める。

電動式の「智能艾灸盒」は、煙や匂いが少なく、温度調節ができるのがメリット。専用のチップを別途購入しなければならないのがやや難点だが、電動式なら周りを気にすることなく、いつでも温灸を楽しめそうだ。

 

足湯で冷え性を撃退しよう

温かい湯に足を浸すと、何とも言えない心地よさが広がり、全身が温まる足湯。中国では老若男女が取り入れる健康法で、ネットショップにはありとあらゆる足湯グッズが販売されている。

まずこだわりたいのが、足湯に使う専用入浴剤。ヨモギ、ショウガ、陳皮など漢方を調合して作られた「泡脚包」は、一番オーソドックスな入浴剤だ。ハガキぐらいの大きさのパックを湯に浸し、5分ほど待てば準備OK。ザ・漢方の匂いが充満する中で、伝統的な足湯を楽しめる。冷え性用の「排寒」ほか、身体の湿気を取り除く「除湿」など数種類の調合あり。

一方、近頃人気を集めているのは、バスボムのようにシュワッと溶け、いい香りがする入浴剤だ。漢方の老舗「北京同仁堂」が出す「精油泡脚包」は6種類の効能を持つ入浴剤を販売。子宮の冷えに効くというタイプを試したところ、真っ赤な色の湯と、ほのかにフローラルな香りが広がった。ただ、使用後のベタ付きが少し気になる。

 

ハイテク足湯桶で幸せタイム

さらに足湯において大事なのが、足湯の桶。せっかく高価な入浴剤を使っても、プラスチックの桶だと湯がすぐ冷め、逆に脚が冷えちゃう、なんてことも。やはり木製の専用桶を使い、足首上までしっかり浸かって温まりたいところ。一口に木製桶といってもピンキリだが、保温用のフタ付きや、排水用のホースがあるものを選ぶと便利だろう。

さらに「華偽(HUAWAY)」などの企業がオススメしているのが、全自動足湯桶。こちらは湯の温度を調節できるのはもちろんのこと、フットマッサージ機能や蒸気を使ったケア機能など、至れり尽くせりのゴージャス足湯タイムを提供する。

 

酵素パウダーに埋もれる

日本で、冷え性や肩凝り腰痛の緩和、デトックスやダイエット効果が期待されるとして、注目を浴びている酵素風呂。上海でも、この酵素風呂を体験できるエステサロンが増えてきている。

今回体験に向かった「花木&日式酵素浴」は、「酵素風呂」(158元)とマッサージを提供しているスパ。店内は、サクラが飾られた和風の雰囲気だ。

さっそく服を全部脱ぎ、顔の部分だけ露出する全身スーツに着替えて酵素風呂へ。モワッとした湿気がこもっているスペースに、木の浴槽が2つ設置されており、中には茶色く、キメの細かい土のようなパウダーが盛られている。店員がシャベルを持ってよいしょ、よいしょと穴を掘り、そこに身体を横たえ、店員さんに上からパウダーを掛けてもらう。適度な重さのパウダーと、そこから伝わる熱がとっても心地よい。さらに首まで酵素風呂に埋まるので、首の後ろもじわーっと温まり、凝りがほぐれていく、湯の風呂では味わえない心地よさを感じる。

 

汗びっしょり、ポカポカ続く

5分ほどすれば体中に汗が吹き出し、スーツの中はびっしょり。途中、店員さんが水を飲ませてくれたり、掛けているパウダーの量を調節してくれたりしながら、15分で終了。短い時間だったが、サウナに入ったのかと思うぐらいの発汗量で、顔も汗でテカテカ。シャワーを浴びた後も、身体がホカホカと芯から温まっているのを感じた。

冷え性撃退はもちろん、気分を一新したい時や肌の調子を整えたい時にもピッタリの酵素風呂。一度チャレンジしてはいかがだろうか。

 

 

全身をヨモギで燻す

先ほど紹介した、手軽に身体を温めることができる、もぐさの温灸。灸・マッサージ専門店や中国系エステサロンに行くと、これのバージョンアップ版で、専門の機械を使った全身温灸を楽しめると聞き、さっそく体験へ行ってきた。

気さくな女性店員が案内してくれる、庶民的なエステサロン「菲悦兮美容SPA」。施術着に着替えると、結構大きな機械「艾灸床」(94元)が登場した。こちらは、ドーム型の機械に身体を入れ、ベッド下からの熱と、遠赤外線で四方八方から全身を温める仕組み。使用しているのは伝統的なもぐさの灸とのことだったが匂いは少なく、ドームの中に、ほんの少しの蒸気を感じるのみ。ホカホカと温かいベッドは、岩盤浴に似た感覚で、冷たかった脚が少しずつ温まり、血が末端まで通う感覚を実感。店員さんが頭皮をマッサージしてくれ、いい塩梅の中、30分の施術が終了した。汗がどんどん出るというわけではなく、手や足が汗ばんだ程度だった。

 

リーズナブルな価格

この「艾灸床」は店舗によりタイプが様々で、今回のようにドームで身体を覆うものもあれば、ベッドに小さな穴がたくさん開いていて、下からヨモギ灸で全身を燻すものもあるようだ。どれも値段が50~100元と比較的リーズナブルなので、ちょっと体調が悪い時や風邪の治りが遅い時に、気軽に利用したい。

 

~上海ジャピオン2021年12月3日号

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP