魚と鹿皮の民族衣装
泥と海水で作られた人
ホジェン族は、
中国少数民族の中で最も人口が少ないとされる。
居住地は黒龍江省からロシアにかけ、
アムール川(黒龍江)と
スンガリ川(松花江)流域に跨っており、
ロシアでは「ナナイ」という名で呼ばれる。
日本の映画監督・黒澤明が、
1975年に制作した映画『デルス・ウザーラ』は、
ホジェン族の生き方を描いたものだった。
その祖先は川で捕れる魚や
鹿の皮で作られた衣服を身に着け、
犬を連れて漁業と狩猟、採集を行っていたという。
この生活形態は、同じ北方に暮らす民族として、
日本のアイヌ民族にも通じるところがある。
1. ホジェン族の子どもたち。
夏の装いは生地も薄く軽やかだ
2. 中国とロシアの国境。
この辺りの川や土地は、全て2言語での名前を有する
3.映画『デルス・ウザーラ』のポスター。
左が日本のもの、右はロシアでの公開用
?ホジェン族には、
「イマカン」という独唱型の叙事詩があり、
口承によって伝えられてきた。
内容は、〝モルゲン(英雄)〟や
〝アジン(首領)〟が〝コリ(神鷹)〟
に変身する女性に助けられ、
敵や仇を討つ物語が主題となり、
ほかにもシャーマンや狐の物語など、実に豊富だ。
イマカンは、
狩猟や採集に出掛けた野営地でたき火を囲み、
また冬は温かいオンドルの上で語られる。
また、ホジェン族に伝わる神話や伝説は
「トロンゴ(特侖固)」と呼ばれ、代々継承されている。
万物の由来を伝えるトロンゴは、次のような一節で始まる。
「まだ世界に海と泥しかなかった頃、
神は泥と海水を手にし、握って大魚を作った。
またいくつかの泥人形を作り、
陽の下で乾かして人にした。
人間の汗がしょっぱいのは海水で作ったから、
毎日入浴するのは泥を流すためと言われている」。
彼らの暮らす土地は寒さが厳しく、
伝統芸能も辛い生活を描いたものが多いが、
少数民族の長い歴史に触れ、その悠久の時を感じてみたい。
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~上海ジャピオン02月24日号