紫外線に気をつけろ!① 紫外線の怖い話

紫外線は、美容を気にする女性だけの問題ではない
時代は男性や子どもにも紫外線対策を呼びかけている
その恐ろしさと対策を、様々な角度から徹底分析する


日焼けではなくもはや被爆 年々強烈になる紫外線に警告


 6月に入りいよいよ夏も本番! しかし、強烈な日差しが照りつける上海では、そう浮かれてばかりもいられない。
上海の紫外線量は、上記グラフからも明らかなように、日本とは比較にならない。中でも目を引くのは、亜熱帯気候の沖縄県をはるかに上回るということ。
 周知の通り、オゾン層の破壊に伴い現在、世界各地で紫外線量が増加している。「日焼け」と呼んでいた紫外線による肌の炎症は、もはや「被爆」とまで表現する時代だ。WHO(世界保健機関)では、年々深刻になる紫外線問題を受け、1992年に各世界機関と共に世界紫外線プロジェクトチーム「インターサン(INTERSUN)」を設立。世界に向けて、HP上で日焼け止めの使用や毎日の紫外線量を把握することなど、様々な紫外線対策を呼びかけているほか、眼球が紫外線を浴びると、白内障を発症する可能性が高いとも言及している。
こうした中、上海市内でも日傘やサングラスなどにUVカット処方を施した商品が続々と登場している。中には、陽射しによる毛髪へのダメージを軽減するシャンプーなども見受けられ、紫外線への関心の高さが伺える。
次ページでは、医療と美容、それぞれの専門家にインタビューし、紫外線の恐怖とその対策に迫る。

 
※グラフは、浦東新区気象センターと気象庁の観測値を元に、2006年6月~9月までの毎週月曜日、10時~14時までの平均値を編集部で編集・作成したものです。
※なお那覇の8月平均値に関しては、同観測所の観測装置故障に伴い7日と14日の2日間を除いた値で計算しています。
※いずれの観測値も、同日・同時間の値を参考に計算していますが、浦東新区気象センターと気象庁の観測装置・観測基準などに差がある可能性があります。そのため、あくまで参考資料としてご理解ください。

紫外線の怖い話


日光浴は本当に安全!? 
時代と共に変化する概念

 「紫外線は単に美容に関わる問題だけではありません。オゾン層の破壊による紫外線量の増加に加え、食生活や生活習慣の変化に伴う人々の紫外線に対する抵抗力低下も深刻になっています」真剣な面持ちでそう話すのは、日本で16年間の治療経験を持つ盛・美容外科の盛虹明先生だ。中でも怖いのは、こうした変化を考慮せず、「日光浴が体に良い」とむやみに日光浴をする行為や、男性だからと言って日焼け止めを塗らずに直射日光に当たることだと言う。
 日光を浴びることは、体内で生成できない栄養素を合成する意味でも必要だが、時代と共に変化する環境に鈍感なままでは、逆に健康を害することになる。「アメリカでは現在、年間に約100万人が皮膚ガンを発症しています。ヨーロッパでは、紫外線の強い日は学校を休みにする取り組みも始まっています」(同)。
 時代は紫外線警報を発令している。もはや年齢・性別に関わらず、誰もが日ごろからきちんとした紫外線対策を取らなければならないのだ。

一生に浴びる紫外線の大半を 
18歳までに浴びている

 太陽の下で伸び伸びと遊び、真っ黒に日焼けした子どもの姿は健康的で美しいもの。しかし、実は子どもこそ紫外線に弱い存在だ。
 子どもの皮膚は大人に比べ薄くて弱い。さらに、成長段階にあり細胞分裂が活発なために、紫外線による影響を受けやすいのもこの頃。ただ、若いためにシミのように目に見える症状は出ないために、あまり重要視されていないと言えるだろう。紫外線の怖さのひとつは、「細胞に蓄積されて5~10年後に肌表面に現れる」(同)という点だ。20代になりシミが現れてきたとしたら、きっとそれは子どもの頃に浴びた紫外線によるものだと言っても過言ではない。
 「とにかく、浴びる量を最小限に抑えてください。女性なら、日傘を差すのもいいですね。あとは、男女限らず帽子に日焼け止めで徹底的にガード。浴びてしまった紫外線には、ビタミンCが有効です。日ごろからたっぷり摂取してください」(同)
 直射日光に当たっていなくても、日中ならどこにいても紫外線の影響を受けると心得よう。室内でも車内でも、常に紫外線を意識することが肝心だ。

【盛虹明先生】盛・美容外科院長
日本人の食生活が欧米化していることに伴い、ビタミンやミネラルの摂取量が減少しています。肌のためにも、米、魚、野菜を積極的に食べるように心がけましょう。

日常生活ではSPF20 
こまめな塗りなおしが肝心

 上海に来てシミが増えたという声は多い。
「肩のあたりに出来てしまう人が多いですね。顔や腕などと違って、対策を怠りがちな部分ですから無理もないですね」と話すのは、自身も肌に悩みを抱えていたというエステサロン・サンフラワーの大里美鈴さん。

 それでも、きちんと対策を取っていれば、白い肌を保つことは可能だという。「日常生活で使用する日焼け止めは、SPF20くらいで充分。その代わり、汗をかいたらきちんと拭ってから塗りなおしてください」。ここで、万全な対策を…とSPF値の高いものを選ぶのは禁物だ。紫外線吸収剤を多く含むものは、肌への負担が大きすぎる。
 このほか、忘れてならないのが水分補給。肌は、陽射しにあたると水分を失いカラカラになる。そのため「今日は太陽にあたったな」と思ったら、日焼けの如何に関わらず、フェイスマスクなどで充分に水分を補おう。
 「水分を補給することで、肌は正常なターンオーバー(肌が28日周期で再生する機能)を行います」(同)肌をきちんとしたサイクルで生まれ変わらせることで、ダメージは最小限に留められる。

【大里美鈴さん】エステサロン・サンフラワー代表
喫煙はメラニンを増殖させる効果があるので、お肌にとっては大敵です。また、メイクは酸化するとシミの原因になることもあるので、こまめに直しましょう。

光老化って?


 シミ、シワ、そしてたるみに至るまで、皮膚が老化する原因の8~9割が紫外線によるものだということが、最近の研究結果から明らかになりました。これを「光老化」と呼びます。
 例えば、腕の内側と外側。紫外線を浴びやすい外側は、50代、60代と年齢を重ねる毎にシミやキメの粗さが目立つようになる一方で、内側はみずみずしい肌を保っていることが下の写真からもわかります。
紫外線は肌の水分を奪うと同時に、コラーゲン繊維を破壊することで、老化を促進するのです。

△バイク便で市内を走り回る男性と、オフィスワークで日中は主に室内で過ごす女性。

~上海ジャピオン6月1日発行号より

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