蘇州天平山で紅葉狩り

 

取材班が今回訪れたのは、
蘇州市中心部から
南東約15㌔に位置する天平山。
山全体と、その裾野に広がるカエデ林は
400年以上の歴史をもち、
紅葉の名所として、
毎年多くの観光客が訪れる。
山は標高200㍍とさほど高くはないが、
裾野一帯を含めた風景区として、
敷地面積は77ヘクタールに及ぶ。
同風景区のカエデは、
その鮮やかな色合いから、
「五彩楓」と呼ばれる。

 

 

紅葉フェスティバル開催中
上海市内から高速鉄道とバスを乗り継いで、
ユカちゃん、リエちゃん率いる取材班一行は、
天平山に到着。
天候が心配されたが、
晴れ女・ユカちゃんのおかげで、
雨が降ることもなく、
なんとか持ちこたえてくれた。
同園では10月初めから、
「紅葉フェスティバル(天平山紅楓節)」が
開催されており、
すでに観光客の姿が見られる。
ここでは、モミジとカエデの両方を
楽しむことができるが、
日本ではカエデ科に属する小型の数種を
「モミジ」と呼ぶのに対し、
中国語では「楓(カエデ)」で統一されているようだ。
2人は待ちきれない様子で、
早速チケット売り場へ。
そして入口の門(写真①)を抜けると、
左右を真っ赤なカエデに挟まれた道
「先憂後楽坊」が続いている。
森ガールなのに紅葉狩りには行ったことがない、
という2人であったが、
ようこそ、とでも言わんばかりに
出迎えてくれたカエデに触れ、
「こんなに赤く色づくんだね♪」と、
自然の織り成す美しさに、
改めて感動している(写真②)。

名詩人も詠んだ泉 
2人は北東に進み、山道を少し上ると、
最初のポイント「白雲泉」に到着(写真③)。
「呉中第一水(蘇州で一番澄んだ泉)」と
呼ばれ、唐代の詩人、
白居易もこの地を訪れた際に、
水の美しさを詠んだとされる。
泉とその上に広がる山の紅葉を
観賞した後、2人は次の場所へ。

 

 

メインスポット「十景塘」
今度は公園を東に進み、
大きな池までやってきた。
メインスポットのひとつ「十景塘」だ。
その畔にある、天平山荘の前には、
十景塘、放生池の2つの池が広がる。
2人は少し歩き疲れ、
ベンチに腰掛けてひと休みする(写真④)。
森ガールに陽光、紅葉、水辺が
ともに映る光景は何とも美しい。
11月中旬にもなれば、
十景塘一帯は真っ赤に染まる。
周辺を見ると、紅葉をバックに、
結婚写真を撮影している一団を発見。
キメキメポーズを撮っていた彼らも、
絶好の撮影場所を探しながら歩いているのだろうか?
「あの人たちに付いて行けば、
いいスポットにたどりつけるんじゃない?」などと
冗談交じりに話しながら、
十景塘周辺を歩く(写真⑤)と、
池と天平山を見渡せる場所を発見。
紅葉した樹木、そして後ろにそびえるが、
池に反射している様は、
しみじみと秋を感じさせる。

アトラクション充実
十景塘を後にし、
引き続き園内を探索する2人。
すると、林の奥から、
何やらにぎやかな声が聞こえてきた。
声をたどって進んでみると、
乗馬コーナーが。
25元/2周で乗れるようで、
大人も子どもも楽しんでいる。
まだまだ先が長いこともあり、
馬に乗りたがる森ガール2人をなだめ、
さらに進むと、アクロバットショーの舞台や
空中ブランコなどのアミューズメント施設を発見。
残念ながら、ショーはまだ始まらないようなので、
ユカちゃんは仕方なく
空中ブランコに1人乗ることに。
カエデの飾りのついた空中ブランコは、
10周ほど回るのだが、
降りてきたユカちゃんは「無意味に長い!」と
少しご立腹気味。
なんとか気分を換えて、
2人は再び公園東エリアを散策する。
しばらく歩くと、黄色く染まったイチョウが。
この辺りはイチョウ林のようで、
葉は緑色が残っていたが、
カエデとはまた違う、
黄葉の魅力を楽しんだ2人だった(写真⑥)。

 

 

登山コースで紅葉観賞
同風景区の魅力は、
山一帯に広がる紅葉の数々。
というわけで、2人も山を登ることに。
登山口に向かう途中で、
「楽天楼」なる建物のそばを通りかかった。
ここは、かつて白居易が休息をしたり、
読書に使ったりした場所。
山道にはトイレがないので、
これから登山をするなら
ここで済ませておくとよいだろう。
敷地内から見ると、葉と楼閣の、
見事なコントラストを成していた。
白居易も、この情景に感動し、
その想いを詩にのせ表現していたのだろうか。
2人も建物の軒下からこの風景に見とれ、
心を落ち着ける(写真⑦)。
楽天楼を出発し、中腹の「卓筆峰」を目指し、
いよいよ登山コースを歩き始める。
すれ違う観光客と挨拶をしながら、
最初はいいペースで登っていた2人。
ところが、何十㍍と続く長い石段に差しかかると、
やはり、呼吸が乱れてきた。
リエちゃんは、
「足痛い。もう歩けな~い(泣)」と言い出す始末。
う~む、森ガールは山ガールとは違って、
登山は苦手なのか。

風景区を一望できる「卓筆峰」
ゼーハーと、苦しそうな息づかいと
重い足取りで一段ずつ登っていくと、
ようやく卓筆峰に到着。
「着いたよ~♪」と、
先ほどの疲労困憊の様子とは打って変わり、
ガッツポーズを見せる。
その背後には、大きな岩と
同風景区の180度パノラマビューが。
天平山は花崗岩でできた山で、
風景区内には、あちこちに奇岩を
見ることができる。
この卓筆峰の岩石もそのひとつで、
ほかにも「回音谷」や「望楓台」など、
見どころ満載だ。
あいにく、取材時は、まだ青葉が目立ったが、
11月下旬には完全な見頃となり、
赤、黄色と秋の色合いを楽しめるだろう。
再び訪れる日を楽しみに
明日の筋肉痛を心配しつつも、
2人は天平山を後にした。

 


~上海ジャピオン2012年11月9日号

 

 

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